カツセマサヒコ『明け方の若者たち』 感想
カツセマサヒコ『明け方の若者たち』
1月1日読了。大学を卒業し働き始めた当初の感覚を鮮やかに思い出しました。理不尽な命令とか、大学時代までいかに甘い考えだったのか思い知らされ日々絶望していました。
よくある新卒社会人の会社+恋愛話なのかと思いきや途中から思わぬ展開に。
沼にはまり込む気持ち、今なら良く分かります。自分がこの人だ!って思えば思うほどその人は遠くに行ってしまうような。手に入れることができないからそう思うのか。
印象に残ったのは
考えてみると、高校に入学し、「文系」「理系」という大きな岐路に立ってから、僕ら”イチローじゃなかった組”は「選ぶ」というよりは「捨てる」という感覚で、自分に人生を選択してきた。
という一文。
人生は選択の連続というけれども案外できないことを捨ててできることにしがみついてきた結果なのかもしれない。
著者のことは全く知らないし、帯のコメントを見て気になって読んでみたのですが、
なんとなく最後のシーンを見るに、この本は著者の20代の自分自身へのレクイエムなのかなと感じました。